「2012年春闘提言」発表にあたって2012年1月19日 労働総研・労働者状態統計分析研究部会 労働総研・労働者状態統計分析研究部会は、この度、【2012年春闘提言】「賃上げと雇用条件改善で超円高・デフレ不況の克服を――内部留保をわずか3.94%活用すれば可能」(全文・PDF)をまとめた。 【労働総研の主張】 日本経済はいま、深刻な危機、超円高・デフレ不況に直面している。この危機を生み出した最大の要因は、国際競争力強化を旗印にした企業が海外市場で売り上げを伸ばし、膨大な利益をあげながら、設備投資にも回さず、労働者にも配分せずに、内部留保としてため込んできたことである。その結果、日本経済は、外需依存体質となり、国内では深刻な需要不足に陥り、構造的なデフレ体質になってきた。 【試算内容と結果】 今回の試算は、2012年春闘の当面するミニマムの課題として、(1)正規労働者の賃金を月1万円引き上げ、(2)パートタイム労働者の時給100円引き上げ、(3)不払い残業(サービス残業)の根絶、(4)年次有給休暇の完全取得、(5)週休2日制の完全実施の5つにしぼって、産業連関表を活用して計算した。その結果、下表のように、国内生産を19.7兆円、GDPを11.3兆円拡大し、新規雇用を466.1万人創出することが分かった。また、税収も、国・地方を合わせて2.0兆円の増収を期待することが出来る。 【内部留保のわずか3.94%で実現可能】 これらの改善で増加する現金給与総額18兆1373億円は、企業の側から見れば人件費の増加になるが、2010年度末で460.9兆円もの内部留保(資本金10億円以上の大企業だけで266.2兆円)が溜まっており、そのわずか3.94%を充てれば実現可能である。また、原資を過去10年間の内部留保増加分242.7兆円(同131.8兆円)に限っても、その7.47%を充てれば済む。 |