1998年8月1日(通巻101号)
目 次 巻頭言 介護保険法をこのまま実施させてよいのか………岡崎祐司
論 文 リーン生産方式に対する闘い………………………木村隆夫
98年度定例総会報告ほか
介護保険法をこのまま実施させてよいのか
あと1年数ケ月で介護保険法がスタートする。実際には介護支援専門員(ケアマネージャー)の模擬試験に人が殺到し、そのテキストが数十万部売れたとか、「生き残り」を掛け、乗り遅れまいとする異常な状況がひろがっている。しかし、多くの福祉関係者は老人ホームの経営悪化、ホームヘルパーの雇用不安、要介護認定で自立となった高齢者の訪問看護からの切り捨てや特養ホームからの追い出しなど、介護保険への不安と疑念を日増しに高めている。いったい、このまま実施させてよいのか。私は、さしあたって介護保険法の抜本改正と施行延期を主張したい。
岡崎祐司
第一にこの保険は、負担と給付の関係が不明瞭であり、異常な国民負担増を強制する。要介護認定により給付対象者は限られ、強制掛け捨て保険になる。65歳以上の高齢者からも徴収する保険料は、人頭税といったほうがよい。また、介護給付を充実させるには保険料引き上げが条件となっており、国民に「負担するか、我慢するか」の選択を強制するシステムになっている。第二に、介護報酬の設定が介護の仕事(福祉労働、医療労働)を解体させる。例えば、高齢者の暮らしを総合的に支えているホームヘルパーの仕事を時間切り売りの単純介護行為に変質させ、生活の面から高齢者の発達をはかってきた特別養護老人ホームを老人病院同様の介護オンリー施設に変質させる。第三に高齢者の権利を認めていない。法4条の国民の努力・義務には、要介護になるな、もしなってもリハビリに励め、共同連帯の精神で保険料を収めよとは書いてあるが、介護サービスを受ける権利も、尊厳ある老後を保障する公的責任も明記されていない。
いったい高齢者の生存と発達は保障できるのか、福祉労働にやりがいと喜びをもてるのか、地域が再生されるのか、根本的に問いなおす議論が必要である。「国民的誤解保険」、「国民的懐疑保険」の始動を、このまま容認してよいはずはない。(会員・仏教大学助教授)
リーン生産方式に対する闘い
木村隆夫
はじめに
トヨタ生産方式は、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)グループの著作「The Machine that Changed the World」(1990年)によってリーン生産方式と命名され、広く世界に知られることとなった。トヨタ生産方式は、従来の大量生産方式に代わり、多種多様の製品を低コストで生産できる、21世紀の標準的な生産方式として推賞された。その反響は大きく、著作は、またたくまに世界中の経営者のバイブルとなった。そして、トヨタ生産方式の故郷である豊田市は、世界中から経営者が訪れる、新たな「聖地」となった。
しかし、その議論には重大な欠陥が含まれている。すなわち、それは労使関係の分析を全く欠落させており、トヨタ生産方式と一体の関係にある特異な労働者管理の問題に目をふさいでいる。MITグループによれば、リーン生産方式のもとで、労働者は、安定した雇用と賃金、手厚い福利厚生を保証され、創造的な緊張感のなかで、やりがいと満足感をもって仕事に従事しているとされる。だが、これほど現実からかけ離れた記述はない。
トヨタ生産方式もとでの厳しい労働者管理と搾取強化によって、労働者は苦しめられている。そして、同時に重要なことは、現状ではまだ少数とはいえ、トヨタの職場でも民主的活動家が持続的・精力的に運動を展開している、ということである。ここでは、リーン生産方式に対して、日本の労働者がどのような問いを展開してきているかについて報告する。
1. トヨタ労働者の闘い
(1)職場と地域
リーン生産方式に対する闘いは、いま日本国内の様々な場面で取り組まれている。まず取り上げるべきは、トヨタ労働者の闘いである。
第一に、トヨタ自動車のなかには、戦闘的な闘いの伝統を受け継ぐ民主的な活動家たちと日本共産党の支部(トヨタ自動車委員会)が存在し、公然と活動を行っている。活動家たちと日本共産党支部は、厳しい制約のなかでも、定期的な職場新開の発行、工場前での宣伝や職場集会での発言などを通じて、日常的に職場政策を訴え、労働者の要求の把握と実現に努めている。また、2年に1回実施される労働組合の役員選挙には、自分たちの代表者を立候補させ、賃金・労働条件の改善、職場と労働組合の民主化を訴えている。
また、トヨタが立地する愛知県の西三河地域には、トヨタの関連企業・下請企業が集中的に立地している。こうした企業、とくにデンソー、アイシン精機、豊田自動織機、トヨタ車体、豊田工機といったトヨタ・グループと呼ばれる大企業群のなかでも、民主的な活動家たちが活動している。活動家がごく少数、ときには、ただ一人という場合でも、定期的に職場新聞を発行するなど、精力的にかつねばり強く活動を展開している。
第二は、「トヨタ総行動」と呼ばれる地域ぐるみの活動である。西三河地域では、トヨタならびにトヨタ関連企業の活動家や地域の多数の労働組合や民主団体が集結し、統一してトヨタに要求を突きつける運動が展開されている。トヨタは、関連・下請企業ばかりでなく、地域社会に対しても巨大な支配力を行使している。こうした力を背景に、トヨタは、下請企業や地域社会に様々な負担と犠牲を押しつけている。「トヨタ総行動」は、こうしたトヨタの横暴を告発し、その行動を地域ぐるみで規制しようとするものである。「トヨタ総行動」は、1981年に「トヨタ包囲宣伝行動」の名称で始められ、その後毎年行われている。「総行動」当日、活動家たちはトヨタに対して「要求書」を提出し、同時に工場、社宅、地域で宣伝活動を行っている。また、「総行動」の前には、研究者らの協力も得て「トヨタ・シンポジュウム」を開催し、職場・地域の実態と闘いの現状を交流し、トヨタヘの具体的な要求を練り上げる活動を行っている。
「トヨタ総行動」に対して、トヨタは様々な制限や妨害をくわえてきた。第一回目の要求書提出では、トヨタは、要求書を「遺失物」として扱い、無視する態度をとった。また、マイク宣伝やビラ配布に対しては、会社と労組幹部が一体となって激しい妨害活動を行った。しかし、2回目以降は、要求書を受け取って話を聞くようになり、妨害活動も、その後も続いているとはいえ、次第に表立った露骨なやり方はひかえつつある。「トヨタ総行動」が定着し、長期にわたって継続されるなかで、トヨタとしても一応の対応をせざるを得なくなってきている。
以上のように、トヨタに対する闘いは、職場と地域において重層的に展開されている。職場新聞で取り上げる、労働基準監督署に訴える、そしてトヨタ・シンポやトヨタ総行動で広げていく、そうなると、トヨタも対応せざるを得なくなる。各職場レベルで見れば圧倒的に少数の活動家でも、こうした闘い方をとることによって、広範に要求を提起し、少なからぬ成果を勝ちとってきている。
(2)闘いの成果
トヨタ並びにトヨタ・グループにおける、おもな闘いの成果を紹介しよう。
- (1)一時金減額を撤回させたり、別の形で支給させた。トヨタの「高賃金」は虚構であり、とくに賃金総額の2〜3割が残業手当、夜勤交替手当などの基準外賃金から成り立つという特徴を持つ。そのため操業短縮が行われる不況期には、大幅な賃金減少による生活困難が表面化する。近年の長期不況で労働者の生活困難は深刻化しており、賃金・一時金に対する労働者の不満は激しいものとなっている。1988年の一時金0.1カ月削減の全社提案に対しては、削減自体は阻止できなかったものの、協力金などの名目で削減分を支給させた。また93年冬、すでに妥結済みの一時金年間協定を覆す提案を会社側が行ったことに対し、闘いは大きく盛り上がり、会社は提案の撤回を余儀なくされた。95年についても、会社は同様の提案を撤回させられている。
- (2)活動家の昇進・昇格差別を、トヨタ総行動や労基署への申し入れによって改善させ、職制になった活動家も生まれた。
- (3)残業前の休憩10分を実現させた(ただし無給)。
- (4)有給休暇の理由欄記入の強制を労基署に訴え、廃止させた。
- (5)夜勤の始業時間を21時から20時に繰り上げる提案に対して、共働きができなくなる、夕食どきの家族だんらんが奪われる、生活リズムが狂う、夕方の交通渋滞を招くなどの問題点を明らかにして職場・地域で反対運動に取り組み、20時30分に変更させた(1988年)。
- (6)社会的生活を大混乱させた土・日出勤のトヨタカレンダーを、−年だけで廃止させた。トヨタは、電気料金か安い休日を利用して、7〜8月の5週間、土・日を出勤にし、木・金あるいは月・火を休日にした。豊田地域では、労働者、下請企業のほとんとが、トヨタカレンダーを軸に動いており、全社利益を優先した身勝手なカレンダーの変更は、地域社会全体に大混乱を引き起こした。トヨタ総行動をはじめとした、様々な地域の諸団体や日本共産党の地方議員などの活動によって、大きく社会問題化し、トヨタは1年だけで土・日出勤のカレンダーを廃止せざるを得なくなった(1987年)。
- (7)様々な形での「ただ働き」を労基署に告発し、残業代を支給させるなどさせた。QCサークル活動・ISO・教育講習などに残業手当を支給させた(最近でも、グループ企業の一つで、8カ月分の残業代総額3千2百万円を支払わせている)。工場・部・課単位のQC発表会は定時内に行わせるようにした。始業時間前の朝礼・ミーティング、定時後の安全教育を定時間内にやらせるようにした。ただ働きが蔓延し体質化している技術部門でも、残業代の一部を支払わせた。
- (8)創意工夫提案の強制を労基署に告発し、強制がないよう指導させた。
- (9)トヨタ系企業に広範に存在する「労災隠し」を告発し、私病扱いされたいくつかのケースを労災として認めさせた。会社敷地内での事故について労災扱いさせるようにした。工場単位に夜間の医務所を開設させた。
- (10)非民主的な役員選挙を一部改善させた。トヨタでは、1971年、委員長に民主的活動家や組合員たちが支持する候補が出馬し、21.0%の得票を得た。これに驚いた会社と組合幹部は、三役(委員長、副委員長、書記長)・局長・上部役員の立候補資格として50名以上の連署、執行委員の立候補資格として15名以上の連署を必要とするよう役員選挙規定を改悪した。署名集めは、本人の自筆で印鑑が必要、宜伝活動は一切禁止、立候補者推薦署名用紙は2枚だけの交付など、極端に厳しい条件のもとに置かれ、自主的な立候補は困難になった。これ以外にもポスター(候補者名のみ)と立ち会い演説会(一人5分)以外の選挙活動の禁止、仕切のない投票所、候補者が立ち会えない開票、会社・職制の監視・干渉など、全くの非民主的選挙が行われている。こうした条件下でも、活動家は一貫して立候補し、役選の民主化を訴え、72年以降、立ち会い演説会の実現、記名式から○方式への投票方法の改善、署名用紙の2枚から5枚への増加、などの改善を実現させてきている。
- (11)人権侵害を告発し、一部改めさせた。デンソ一女子寮の電話受付簿(誰から誰にかかってきたかを全部チェック)を撤廃させた。豊田工機では、88年職場新聞発刊と同時に、活動家に対する人権侵害がはじまり、仕事中に連日「スコップか飛んでくるぞ」などの脅迫や暴力が続いたが、人権擁護委員会に申し入れて、職場での集団的いじめをやめさせた(ただし現在でも、工場前で職場新聞を配布するたびに、大勢の上司や会社派組合幹部に囲まれ配布を妨害されたり、部長らの口頭による厳重注意が行われる事態が続いている)。
- (12)労働基準監督署が豊田市に誘致された(1989年)。誘致の背景には、豊田地域における労働災害の多発、ただ働きなどの明白な法律違反事件の続発と、各職場からの問題告発・解決の積み重ねがある。
(3)闘いの教訓
以上の闘いから、トヨタの労働者たちは次のような教訓を得ている。
第一に、少数であっても、公然と要求を掲げ、ねばり強く闘えば、要求は実現できる、という点である。もちろん、職場の労働者たちが長期にわたって要求しつづけても、現在の力関係上、実現する事が困難な項目も多い。賃金の大幅引き上げ、労働時間の短縮、過密労働の改善、応援・配転問題、特定政党支持・企業ぐるみ選挙の問題などでは、会社側は全くといってよいほと譲歩していない。しかし、闘いの諸成果は、トヨタ生産方式のもとでも、労働者が闘う姿勢に立ちさえすれば、いかに多くの要求を実現しうるかを示すのに十分である。
第二に、労働基準法にも明記された、あまりにもあたりまえの労働者の権利や労働条件が踏みにじられている、という点である。トヨタ生産方式は、労働者の基本的権利を侵害する体質を持っている。同時に、闘いの諸成果の項目の多くは、まともな労働組合が存在すれば、本来、労働組合が取り組み、改善させている事柄であり、トヨタ労組かいかに本来の労働組合とはかけ離れた存在であるかを、逆に示している。トヨタ系企業では、組合は、会社と一緒になって問題を隠すことはあっても、それを労働者の立場で解決しようとはしない。じっさい、ただ働きや労災の問題などでは、活動家への匿名の訴えから問題が表面化するケースが多く、組合は全く信頼されていない。
第三に、トヨタの労働者支配の体制は、みかけほど安定したものではない、という点である。確かに、労働組合の役員選挙では、活動家の得票率は規在でも5〜7%といった水準であり、表向きは会社派の組合幹部が圧倒的大差で選ばれている。しかし、その数字を額面通り受け取ることは、もちろんできない。非民主的選挙については既に触れたが、いまや選管の発表数字にさえ疑惑がもたれている。職場の実際の状況は、そうした表面的な数字をはるかに超えて、労使関係不安定化の兆候を示してきている。最近の傾向として、組長・班長などの現場職制層のなかで、会社・組合に対する不満が高まってきている。職場の矛盾が、そうした層に集中的にしわ寄せされていることから、職場集会などでも、会社や組合の提案に対して公然と不満や批判を口にし、活動家の発言に支持・共感を寄せる職制が増えてきている。
2. 労働者の闘いと共同の拡がり
自動車産業で生まれたリーン生産方式は、その後、自動車産業以外の製造業やその他の産業にも広く応用され、いまや産業以外の場面にも、その影響が広がっている。リーン生産方式は、波及する先々で労働者からゆとりを奪い、労働者の怒りと抵抗を呼び起こしてきた。リーン生産方式に対する、こうした個々の闘いが、いま次第に合流し、共同した闘いのネットワークが形成されつつある。
第一に、リーン生産方式の本家である、自動車産業のなかでの労働者の交流である。この点で注目されるのは、自動車産業で働く労働者と地方・地域で闘っている労働組合・民主団体などが集まって闘いの経験交流と学習を行なう「自動車産業労働者と関係地方組織の交流集会」が、1995年から毎年開催されていることである。マツダの労働者が、トヨタ総行動に学んでマツダ総行動に取り組むなど、これまでにも個々の交流は行われていたが、この「交流集会」の発足は、そうした闘いの交流の輪をさらに広げ、共同した闘いを強化するものとなる。
第二に、ジャスト・イン・タイム(JIT)による労働負担の研究と職場での闘いを積み重ねてきた「現代労働負担研究会」の活動がある。JITに代表されるリーン生産方式は、70年代後半から日本国内に急速に普及し、自動車に始まって、今日では電機、精密機械、産業機械、食品をはじめとするすべての製造業、さらには物流、小売サービスの分野にまで広がっている。こうした職場にJITを導入する第一段階の手法が、椅子を強制的に取り払って、立って作業させることである。現場労働だけでなく、事務労働にも立ち作業か強制されるケースさえあった。こうした強制立ち作業は、様々な健康障害を引き起こした。1990年に発足した「研究会」は、JITが導入された全国の事例と闘いの交流の場となり、労働医学の専門家の協力によって事例研究を積み重ねるとともに、じっさいにも、いくつかの職域で立ち作業を廃止させる成果を生み出している。
第三に、1980年代の終わり頃から社会問題化した「過労死」の労災認定のための闘いであり、これもリーン生産方式との闘いと深く結びついて展開されている。日本では、生産現場だけでなく、金融、サービス、運輸、公務、教育現場など、ありとあらゆる業種でトヨタ的な働き方が押しつけられつつある。このため、長時間・過密労働と過大なノルマなどによるストレスが原因で、すべての職種、すべての年齢層で、オーバーワークによる突然死が発生している。しかし、労災認定に消極的な労働行政と、加害者である会社、さらには労働組合の非協力のため、労災補償が認められる被害者はきわめて少ない。このため、1988年から、全国の弁護士・医師を中心に「過労死110番」が設置され、被害者らの相談に応じるとともに、過労死の遺族と弁護士・医師・職場の活動家らが協力して、企業・労組の責任を追及し、国に労災を認めさせる運動を展開している。こうした活動は、社会に大きな反響を呼び起こし、厳しすぎる労災認定基準の一定の緩和を実現している。
第四に、全労連や日本共産党による、労働時間短縮や過密労働規制などを進める運動、特に、それと関連した労働基準法の抜本的改正を求める運動である。現行労働基準法には、リーン生産的な働き方を規制する上で、残業の上限の制限の欠落、過密労働規制の欠落など、大きな欠陥が存在する。労働組合による規制が不十分な日本においては、法律による規制は、特別に重要な意味を持つ。しかし現在、政府・財界は、裁量労働制の適用拡大、派遣労働分野の拡大など、これと全く逆に、トヨタ的な働き方のさらなる徹底に向け、その障害となる規制の全面的な撤廃を実現しようとする政策を進めている。こうした労働基準法など労働法制の全面改悪に対しては、「連合」職場も含む大多数の労働者と労働組合が反対している。
以上のように、日本の労働者・家族・住民は、現在様々な場面でリーン生産方式と闘い、成果を勝ちとってきている。そして、そうした個々の闘いの成果とともに重要なことは、そうした闘いが次第に結びつき、交流と共同のネットワークが広がりつつあることである。それは、国内ばかりではない。リーン生産方式の世界的な波及は、いまや、リーン生産方式に対する闘いを世界中で呼びおこし、闘いの共同・交流も世界的な拡がりをみせ始めている。
(会員・名古屋経済大学助教授/愛知労働問題研究所所員)
7月の研究活動
7月1日 全労連からの委託研究「持ち株会社の問題点-NTT分割・再編成に関連して」第4回=NTT持ち株会社化の特徴、NTTの経営分析など
13日 賃金・最賃問題研究部会=報告・討論/全労連の98春闘総括と今後のすすめ方について
国際労働研究部会=報告・討論/国際労働情勢について
16日 全労連からの委託研究「持ち株会社化の問題点-NTT分割・再編成に関連して」第5回=報告書の最終整理作業
20日 青年問題研究部会=報告・討論/職業教育・訓練制度の現状の研究をどうすすめるのか
22日 女性労働研究部会=報告・討論/男女共同参画社会基本法について
30日 中小企業問題研究部会=報告・討論/「ILO中小企業における雇用促進政策」及び「社会労働条約」について
関西圏産業労働研究部会=報告・討論/流通システム変革の動向について
98年度定例総会報告
1.7月31日(金)、東京都北区「北とぴあ」において、労働運動総合研究所の98年度定例総会が開催された。今回の総会には規約改正(案)が案件の中に含まれていたために、その成立条件は定数の4分の3以上の出席数であったが、その成立条件を満たす出席数であった。
2.午後1時、宇和川邁事務局長の開会挨拶の後、総会議長に儀我壮一郎理事、議事録著名人に桜井絹江、内山昂の両常任理事を選任した。
3.総会議長は、上記のとおり出席数が総会の成立条件を満たしていることを報告し今総会の成立を宣言し議事に入った。
黒川俊雄代表理事の主催者挨拶の後、小林洋二全労連議長から来賓挨拶を受け、議案の提案と審議に入った。
4.「1997年度経過報告」を文書提案、「1997年度会計報告」を宇和川事務局長が、「1997年度監査報告」及び「当期剰余金処分(案)」の提案を山口孝監事が行い、いずれも承認された。
ついで、「1998年度事業計画(案)」の提案を牧野富夫常任理事が行い、審議に入った。まず、各研究プロジェクト・研究部会の責任者あるいはメンバーから状況報告が行われ、本研究所の中心事業である調査研究事業の状況が明らかにされた。ついで、グローバリゼーションと国境を越えたM&Aを契機とする諸問題の研究、国際労働運動における幅広い統一行動の経験と教訓の研究、情勢にかみあわせた緊急な課題を適宜設定しての学際的な研究の組織化、雇用創出の運動に着目すること、全労連の対話と共同の運動が広く展開されているもとで連合、全労協、中立などの組織的状況の把握と分析などの重要性について発言が行われた。
また、本研究所の調査研究活動の内容を、「労働総研ニュース」やホームページなどを活用して会員に知らせるための工夫、本年12月に準備会から正式に発足する「働くもののいのちと健康を守る全国センター」への研究者会員の協力、本研究所が編集発行に全面協力している「国民春闘白書」をもっと労働者、労働組合が使いやすいものにするための工夫、季刊「労働総研クォータリー」などで貧困研究特集の企画、団体会員である通信労組から97年度の全労連からの委託研究「NTT持株会社化は何を目指すか」のような、通信情報産業研究の継続などの要望発言も行われた。これら多くの本研究所の事業を発展させる視点からの発言などもふまえ、「1998年度事業計画(案)」は承認された。
5.ついで、「1998年度予算(案)」の提案を宇和川事務局長が行い、承認された。
6.ついで、「規約改正(案)」の提案を宇和川事務局長が行い、承認された。これは来年12月11日に設立10周年を迎える本研究所をいっそう強化・発展させていくための要である役員体制の強化・継承の一環として、役員の項の中に「顧問」を新設するという内容であった。
7.最後に、「98〜99年度役員選出」についての提案を戸木田嘉久代表理事が行い、59人の理事、2人の監事を選出した。新役員選出後、新理事会での代表理事3人、常任理事20人の互選結果を同じく戸木田代表理事が報告し、承認を得た。
8.以上をもって一切を終了し、戸木田代表理事が閉会挨拶を行い、午後5時閉会した。
なお、総会終了後、出席者により懇親会が行われた。
97年度第2回理事会報告
7月31日、97年度第2回理事会は98年度定例総会当日、同会場において12時から12時40分まで開催された。成立条件は定数56人の3分の2以上(38人以上)の出席であるが、53人(うち委任状22人)の出席であり、その条件を満たす出席数であった。
同理事会は、98年度定例総会に提案するすべての議案の最終確認を行うとともに、定例総会での任務分担を確認した。
全労連からの委託研究
『NTT持株会社化は何を目指すか』を発表
労働総研は、全労連からの委託研究「持株会社化の問題点-NTT分割・再編成に関連して」を受託し、3月末から「NTT持株会社化研究会」をもって研究をすすめ、7月22日小林洋二全労連議長に報告書「NTT持株会社化は何を目指すか」を提出した。
・報告書は以下の構成になっている。
序にかえて
第1章 持株会社の解禁
第2章 純粋持株会社方式の意図と問題点
第3章 持株会社との労使関係はどうなるのか
第4章 日本電信電話株式会社の経営分析
資 料 付属経営分析表
・研究会メンバーは以下のとおり。
野田 正穂(法政大学教授)
井上 照幸(高崎経済大学教授)
上田 誠吉(弁護士)
山口 孝(明治大学名誉教授)
松島 暁(弁護士)
草島 和幸(労働総研常任理事)
鴨川 孝司(前全労連副議長)
寺間 誠治(全労連幹事)
鈴木 幸恵(通信労組委員長)
岩崎 俊(通信労組書記長)
・頒価 1,300円(送料込み)・B5版60ページ
ご希望の方はご連絡下さい。
寄贈・入手図書資料コーナー
- 経済企画庁調査局編「経済要覧/平成10年版」(大蔵省印刷局・98年6月)
- 経済企画庁調査局編「構造改革下で新たに胎動する地域経済/地域経済レポート'98」(98年6月)
- 労働省編「平成10年版/労働白書-中長期的にみた働き方と生活の変化」(日本労働研究機構・98年7月)
- 大須賀哲夫・下山房雄著「労働時間短縮-その構造と理論」(御茶の水書房・98年7月)
- 金融機関・大蔵省の横暴規制実行委員会編「研究資料47/金融機関・大蔵省の横暴を許すな」(兵庫労働総研・98年8月)
7月の事務局日誌
7月6日 労働総研・全労連定期協議(労働総研代表理事中心に6人出席)
14日 労働総研・全労連共催「第3回地域政策研究交流会」打合せ(黒川代表理事・芹沢会員)
16〜17日 労働総研・全労連共催「第3回地域政策研究交流集会」準備で開催地北海道諸団体まわり(黒川代表理事)
24日 「労働総研クォータリー」編集会議(責任者・加藤常任理事ほか)
28日 全労連第17回定期大会あいさつ(黒川代表理事)
29日 労働総研・全労連共催「第3回地域政策研究交流集会」打合せ・黒川代表理事、芹沢会員、宇和川)
労働総研・全労連共催「第3回地域政策研究交流集会」案内
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