(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
第1は、労働総研と全労連で共同編集してきた『国民春闘白書』の内容充実である。同書は、06年度から春闘に役立つデータブックとして活用できる統計ハンドブック的性格の比重をさらに高めるという新しい編集方針にもとづいて作成されることになった。
労働者状態統計分析研究部会は、この『国民春闘白書』を充実させるために、全労連とも協力して、(1)労働者状態にかかわる統計の全般的分析、(2)賃金、労働時間、雇用などの統計データにもとづく労働者状態の実相に迫る分析、(3)大企業の企業分析と日本経済についてのマクロ的な研究調査をすすめ、その成果を2008年『国民春闘白書』に反映させてきた。
第2は、各種統計にもとづいて労働者状態を分析し、労働組合運動の時々の政策的課題について明らかにすることである。
この間、部会として、「新時代の『日本的経営』」以降の10年余の雇用、賃金、労働時間の変化を明らかにするなかで、今日の深刻な貧困の拡大の土台に、何があるのかを調査研究してきたが、引き続き、この課題を系統的に分析していく。
(2)年度期間中に明らかになった論点
今日の貧困の拡大の土台には、膨大な失業者群と構造的な非正規労働者群が、財界・大企業とその代弁者である自公政権によって政策的につくられてきたことがある。こうした状況のもとで、労働者の状態悪化が加速化し、「現代の貧困」が改めて問われる状況になっている。この実相に迫り、その打開の方向について、政策的な提起をすることが求められている。
(3)これから解明すべき論点
労働者の状態悪化が進むなかで、連合の政策も全体として、労働者の要求を反映するようになってきている。労働者状態にかかわる統計分析を進めると同時に、それとのかかわりで連合の政策方針も分析し、一致できる要求・政策についての分析も行い、全労連のすすめる運動に寄与できるようにしたい。
(4)その他
『国民春闘白書』の執筆はもちろん、『労働総研ニュース』、『労働総研クォータリー』などへの執筆、資料提供などの努力をさらに強めることにしたい。
また、労働者状態にかかわる基礎資料の系統的分析と蓄積をはかるために、労働組合運動の時々の焦点になる課題についての統計資料の分析を行う研究例会を定期的に開催していくことにしたい。
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