(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
90年代後半以降、著しく悪化した「労働と生活」の現状を分析し、その直接・最大の原因である新自由主義的構造改革の「悪魔の2つの手」(「小さな政府」と「規制緩和」)をしばり、人間的な労働と生活を実現するための政策と運動課題を明確にすること。
(2)年度期間中に明らかになった論点
「人間的な労働と生活の新たな構築」を図るためには、「3つの要件」が必要になる。それは、(1)経済的ゆとり(雇用・賃金・社会保障などに関係)、(2)時間的ゆとり(生活時間・労働時間・働き方などに関係)、(3)心身の健康(労働時間・労働密度・労務管理などに関係)であり、それぞれ一定水準をクリアしていなくてはならない。
(3)これから解明すべき論点
「3つの要件」を縦糸に、プロジェクト研究の柱を明確にして、「人間的な労働と生活の新たな構築をめざす」政策提言をまとめる。その基本視点は、「悪魔の2つの手」をしばるという基本的見地に立って、「小さな政府」ではなく、国の再分配機能の適正化による国民サービスの充実とともに、強欲な資本蓄積要求の下で生まれる労働者の切実な要求から出発し、横暴な資本蓄積の規制を図るという2つの面から接近するということである。
(4)その他
プロジェクトチームの下に、プロジェクトの柱にもとづく作業部会を設置し、10年中に作業部会の第一次報告を受け、2011年1月には提言中間報告を発表し、2011年度総会をめざし、提言最終報告をまとめる。
*課題解明の手法
「人間的な労働と生活」が新たに構築された状態のイメージを明確にし、その実現のためには順次なにをすべきか、プログラムを示すという「バックキャスト手法」をとる。
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