I．2012年度における経過報告

　労働総研はこの１年間、研究所プロジェクト「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」を中心とする研究活動をすすめるとともに、春闘や電機産業の大リストラなど、労働運動の直面する課題に積極的に応える政策提言活動なども重視し、「労働運動の必要に応え、その前進に理論的実践的に役立つ調査研究所」として積極的な役割を果たしてきた。

１．研究所プロジェクト「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」

　2008年度から始まった本プロジェクトは、プロジェクト推進チームと作業部会を設置し活発な研究作業を進め、今期は最終報告にむけての作業をおこなった。そして、最終報告である『提言･ディーセントワークの実現へ――暴走する新自由主義との対抗戦略』を発表、刊行した(2013年４月、新日本出版社)。
　各作業部会の報告は、（１）賃金政策『デフレ不況脱却の賃金政策』小越洋之助監修・労働総研編(2012年10月、新日本出版社)、（２）社会保障『社会保障再生への改革提言――すべての人の生きる権利を守りぬく』日野秀逸監修・労働総研編(2013年１月、新日本出版社)、（３）時間的ゆとり『労働時間の短縮で日本社会を変えよう』斉藤隆夫監修・労働総研編(2013年１月、労働総研ブックレット、本の泉社)を刊行した（雇用政策・心身の健康・仏英調査は2011年度に発表）。
　また、『労働総研クォータリー』No.87・2012年夏季号にて発表した「提言（案）」にもとづくシンポジウム(2012年10月６日)や大阪での学習会(10月20日)を開催し、出された意見については最終報告に反映した。最終報告発表後、「提言・ディーセントワークの実現を――人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」シンポジウムを開催(2013年５月11日)、92人が参加した。

２．共同プロジェクト

(1) 都道府県別「最低賃金波及効果」試算

　最低賃金の時給1000円引き上げについての経済波及効果を都道府県ごとにできるマニュアルを作成し、今期は、神奈川労連と共同作業をおこない、このマニュアルを活用し、県内の経済波及効果を試算した。

(2)「組合員モニター調査」

　「組合員モニター調査」は、全労連との協議も含め、再検討することとした。

３．研究所の政策発表

　労働運動の直面する課題に積極的に応える政策提言活動として、（１）「2013春闘提言・賃上げと雇用の改善で『デフレ不況』の打開を―外需依存型から内需充実型に転換し経済基盤を再構築−」(2012年12月26日)、 （２）「提言・電機産業の大リストラから日本経済と国民生活を守るために」(2013年１月30日)を発表した。これらは、労働組合などで活発に活用されるとともに、特に春闘提言はマスコミにも数多く取り上げられ、大きな世論をまきおこした(「広がる賃上げ必要論と春闘回答へのマスコミ評」としてホームページに掲載)。

４．研究部会

　「労働総研アニュアル・リポート2011」（「労働総研ニュース」No.270・2012年９月号掲載）を発表。
（１）賃金最賃問題研究部会（８回開催）
（２）女性労働研究部会（８回）、ディスカッションペーパー『雇用におけるジェンダー平等』を発表。
（３）中小企業問題研究部会（７回）
（４）国際労働研究部会（６回）、全労連編『世界の労働者のたたかい2013』に協力。
（５）労働時間・健康問題研究部会（６回）
（６）労働者状態統計分析研究部会（２回）、全労連・労働総研編『2013年国民春闘白書』を発表。
（７）労働組合研究部会（10回）、『労働総研クォータリー』No.89・2013年冬季号「特集・海外の労働組合からなにを学ぶか―企業別組合の弱点克服をめざして」を発表。
（８）関西圏産業労働研究部会（５回）
（９）社会保障研究部会（５回）
（10）労働組合運動史研究部会（４回）

５．研究活動の関連施策

(1)　研究例会

　公開学習会「憲法改悪策動の新局面」を開催した(2013年４月17日)。

(2)　研究交流会

　プロジェクトと研究部会間の研究交流をすすめるため、プロジェクト・研究部会代表者会議の開催（2013年３月２日）をはじめとして、各研究部会にてプロジェクト推進チーム・各作業部会との交流がおこなわれた。また、「労働総研ニュース」にて各研究部会の報告を掲載した。

(3)　E.W.S（English Writing School）

　わが国の労働運動を中心とした情報を海外に発信するための書き手養成講座であるE.W.Sは、今年度も毎月２回定期的に開催した。

(4)　若者の仕事とくらし研究会

　若手組合員の意識調査結果を『経済』2013年３月号に発表。引き続き静岡で聞き取り調査をおこなった。

(5)　大企業問題研究会

　大企業職場からの報告と、財界・大企業の戦略の変化について分析・検討などを中心に２回開催され、「提言・電機産業の大リストラから日本経済と国民生活を守るために」のとりまとめもおこなった。

(6)　 経済分析研究会

　研究会の目的と活動のすすめ方を明らかにした設立趣意書を確定し、発足の具体化を図るとりくみをすすめた。

(7)　 産別会議記念労働図書資料室

　堀江文庫をはじめ労働図書の整理、公開をおこなった

６．出版・広報事業

　『労働総研クォータリー』、「労働総研ニュース」、「労働総研ジャーナル」(英文)の定期発行、およびホームページの更新につとめた。
　『労働総研ブックレット』は、No.６『最低生計費調査とナショナルミニマム─健康で文化的な生活保障』金澤誠一著、No.７『ブラック企業と就活・働く権利―青年に希望を・悪質企業を見分ける確かな眼―』生熊茂実・鹿田勝一著、No.８『労働時間の短縮で日本社会を変えよう』斉藤隆夫監修・労働総研編を刊行した。

７．その他

（１）インドのスズキ子会社の労働争議に関する現地調査を、全労連と協力しておこなった。
（２）「戸木田嘉久、黒川俊雄両先生を偲ぶ会」を開催した(2013年６月15日)。
（３）労働法制中央連絡会に事務局団体として活動に参加、「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」に参加している。また、全国大学教員有志の「TPP参加交渉からの即時脱退を求める要望書」への賛同よびかけに協力した。

II．研究所活動をめぐる情勢の特徴

１．歴史的岐路に立つ日本―労働者・国民、労働と生活の危機

(1) 財界戦略と安倍政権――改憲策動と平和的生存権の危機

　リーマンショックから５年――日本資本主義は重大な転換点を迎えようとしている。財界・大企業は今、政府と一体となって、日本の社会と経済の仕組みを根本から変え、日本を「企業の利益の増大」のために奉仕する国家につくりかえようとしているからである。財界・大企業は、“６重苦”（（１）経済連携協定締結の遅れ、（２）歴史的円高、（３）電力供給不安・コスト増、（４）厳しい温暖化対策、（５）重みを増す企業の公的負担（法人税、社会保険料負担）、（６）労働規制の強化）を放置すれば、生産拠点の海外シフトに拍車がかかり、雇用の維持・創出に悪影響が出ると、国民・労働者を脅かしながら、“雇用破壊”“賃金破壊”“社会保障破壊”をさらに加速させ、その一方で海外にも大々的に進出して大もうけができるように「世界で一番企業が活動しやすい国」に変えようとしている。
　2012年暮れの総選挙で登場した安倍政権は、財界のための“６重苦”解消の経済政策・アベノミクスを打ち出すと同時に、憲法改悪の策動を強めている。改憲勢力の長年の念願であった９条改憲を実現すると同時に、96条改憲がたくらまれている。これは、財界方針でもあり、そのことは、日本経団連が憲法問題に初めて言及した文書「わが国の基本問題を考える」（2005年）のなかで、「当面、最も求められる改正は、現実との乖離が大きい第９条２項（戦力の不保持）ならびに、今後の適正な改正のために必要な96条（憲法改正要件）の２点と考える」と述べていることからも明らかである。
　財界が要求する“６重苦”の解消と９条改憲は、現行憲法が保障する平和的生存権、日本国民が平和のもとに、人間らしく働き生活できる権利を奪うものである。財界のための国家づくりか、それを許さず、現行憲法を守り、人間らしく働き生きる権利を守ることができるのかどうか――日本はいま、歴史的岐路に立っている。

アベノミクス――労働者・国民生活を大きく脅かす

　安倍政権のアベノミクスの「３本の矢」――「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」は、国民の所得と消費を減らし、国民生活と日本経済に混乱と新たな危機をもたらすものにほかならない。
　第１の矢＝「大胆な金融緩和政策」は、「デフレ不況」脱却のためには物価値上げが必要であり、そのために「異次元の金融緩和」をおこなうというものである。そうすれば、円高も是正できると強弁している。この政策は、物価引き上げのために、「投機とバブル」を政策的に引き起こす異常な金融・経済政策である。しかし、今日の「デフレ不況」は、通貨供給不足による物価下落ではなく、賃金低下がもたらした需要不足による不況である。この「デフレ不況」は、労働者の賃金が増え、消費と需要が伸び、実体経済が回復するなかでこそ打開することができる。「大胆な金融緩和政策」は、「デフレ不況」脱却の本来の道に逆行するものであり、結局、投機の暴走を招くことにつながるだけである。実際、この政策は、国債、株式、為替についても、政府・日銀の想定外の結果を招き、市場を大混乱に陥れている。「大胆な金融緩和政策」は、国民の暮らしと日本経済に混乱と危機をもたらすもの以外のなにものでもない。
　第２の矢＝「機動的な財政政策」は、大企業本位の大型開発や大企業減税への新たなバラマキをはかろうとするものである。しかし、それは冷え切った日本経済を蘇生させないどころか、かえって国と地方の財政危機を深刻化させ、企業間・地域間の格差を拡大させて、不況脱出を困難にさせるものである。
　第３の矢＝「民間投資を喚起する成長戦略」は、安倍政権のもとで、財界代表が参画して設置された「経済財政諮問会議」「産業競争力会議」「規制改革会議」などで、その具体化が急がれている。その中味は、一言でいえば、多国籍化した日本とアメリカの大企業が、産業構造の再編をテコに、日本国内で大儲けできる体制をつくると同時に、日本の大企業が海外に進出して大儲けができるように支援するというのが、アベノミクス経済成長戦略である。
　安倍首相は企業が収益を伸ばせば、設備投資が増え、労働者の賃上げ、処遇改善につながると、「トリクルダウンの理論」をふりかざしている。しかし、この議論は、この20年間、大企業が大幅に利益を伸ばし、内部留保を増やしても、それが設備投資にも、労働者の処遇改善にも回されなかったように破たん済みの議論である。
　アベノミクスは、第１〜３の矢に加えて、自民、公明、民主３党で合意した「税と社会保障の一体改革」の全面展開をねらっている。2014年４月には消費税税率５％から８％へ、そして2015年10月からは10％への連続値上げが予定されている。その一方で、“社会保障破壊”の強行がねらわれており、その手始めに、生活保護の申請に新たに「書類提出」を義務付けるなど生活保護受給を“水際”で止めさせようとする改悪が進められている。
　アベノミクスが進行するなかで、リストラ・人減らしによる失業危機の深刻化・雇用不安の増大、中小企業への貸し渋りによる倒産の増大、さらには、円安による石油・消費財の輸入価格上昇で、消費者家計の負担が増大するなど、いまでさえ苦しい国民生活がさらに悪化するようになっている。これに加えて、消費税大増税、社会保障改悪を許せば、生活不安が増大し、貧困と格差が広がり、景気が悪化することは火をみるより明らかである。
　今求められるのは、労働者の賃金、安定した雇用を実現することによって、生活充実型内需重視の経済社会を実現することである。日本を「世界で一番企業が活動しやすい国」にしようとするアベノミクスを許すのかどうか、いま、その正念場を迎えている。

解雇自由、ただ働き自由めざすアベノミクス労働規制緩和

　アベノミクス成長戦略実現のための不可欠の課題と位置付けられているのが、労働規制緩和である。この間の新自由主義的構造改革のもとで、労働分野の規制緩和が進み、労働者の状態悪化が急速に進行した。低賃金・無権利の非正規労働者の増大と雇用不安の拡大をテコにした賃下げ攻撃は、賃金水準の低下、賃金格差の拡大を招き、日本を世界でも例のない賃金が引き下げられる国に変えた。成果主義が導入され、賃金が抑制され、タダ働きや長時間労働が強制され、労働者の生命と健康が脅かされ、過労死が頻発している。リストラが横行し、失業者が増大し、ブラック企業の増加など “雇用破壊”と“賃金破壊”が同時に進行する異常な事態になっている。また、財界・大企業はアジア太平洋の活力を取り込み、日本経済の成長力強化を図るとして海外展開をこれまで以上に加速させ、その一方で、雇用や地域経済など企業の社会的責任を放棄し、国内の生産拠点のリストラを図り、乱暴な人減らしを強行するなど、“亡国の路線”を突き進んでいる。
　アベノミクス労働規制緩和は、こうした財界戦略にもとづき「世界で一番企業が活動しやすい国」にするために、解雇自由、ただ働き自由社会をつくり、深刻な労働者の状態悪化に拍車をかけるものである。規制改革会議答申では、正社員の多くを限定正社員に置き換え解雇しやすくするための「限定正社員」（ジョブ型正社員）制度の導入、労働者派遣の規制根拠から「常用代替防止」をなくすなど労働者派遣法の改悪、企画立案などに携わるホワイトカラー労働者の残業代をゼロにする企画業務型裁量労働制の拡大などの労働時間の規制緩和が盛り込まれている。その先にはホワイトカラーエグゼンプションもたくらまれている。産業競争力会議では、解雇の金銭解決制度の導入も検討されている。アベノミクス労働規制緩和は、日本の労働のルールを根底から破壊し、グローバル化する大企業の意のままに、労働力を流動化させようとするものである。
　アベノミクスの展開を放置すれば、低賃金・不安定雇用と貧困が肥大化し、国民経済の健全な発展が阻害されることは目に見えている。このたくらみを阻止することは、労働者の雇用・賃金をはじめとする労働条件を守ると同時に、日本経済の国民的再生を実現するためにも緊急の課題となっている。

(2) 憲法改悪策動の新たな局面

　安倍自民党は、憲法改正手続きに関する96条の改憲を、参議院選挙公約として掲げた。改憲発議を国会議員の「３分の２以上の賛成」としている96条を「過半数の賛成」に緩和しようというのである。近代的な憲法は、国民の基本的人権を守るために国家権力を制限するところに本質がある。これが、憲法の立憲主義である。だから、憲法は、国民の基本的な権利が、その時々に多数派を占める政治権力によって揺るがされてはならないという見地から、憲法を簡単に変えてはならない原則を定めている。発議要件の緩和は、憲法の立憲主義を否定するものである。
　安倍自民党は、96条改憲だけでなく、９条改憲をはじめ憲法の全面改悪を企てている。現行憲法は、300万人の日本国民の命を犠牲にし、2000万人のアジアの人々の命を奪った侵略戦争への反省の上に立って、不戦の誓いと恒久平和の決意をこめ、平和的生存権を高らかにうたいあげている。自民党「憲法改正草案」は、前文から不戦の誓いと恒久平和の原則、平和的生存権の規定を消し去り、９条改憲によって、自衛隊を「国防軍」とし、自衛権（集団的自衛権を含む）の行使も可能となるように規定を変え、日本を「戦争のできる国」に変えようとしている。そのために、日本を「天皇を戴く国家」に変え、軍法会議の設置や機密保護法制定をもとめ、「公益」や「公の秩序」の名で、日の丸・君が代の尊重、領土・資源の保護への協力、社会秩序の範囲でしか人権を保障しないなど、国民主権、基本的人権の尊重という憲法の民主的原則を否定している。
　日本を「戦争のできる国」にしようというのは、アメリカの長年の悲願であったが、それはまた、グローバル化する日本企業の利益を代表する財界の願いでもある。経済同友会「世界構造の変化と日本外交新次元への進化」（2011年２月）で、「集団的自衛権行使の容認」「シーレーンの安全確保」と同時に、「在留邦人保護に向けた法整備」を掲げ、そのなかで、「広く世界に活動範囲を広げていきたいと考える日本人・日本企業が今後は一層増えてくる……有事における在外邦人保護に向け、日本が対処能力、法的基盤整備は不可欠」と述べている。
　戦争への道は、なし崩し的に進んでいく。このことは、戦前の侵略戦争の苦い歴史の教訓である。憲法９条は、侵略先の戦争の悲惨な体験から痛切な教訓を学んだ日本国民が、世界に誇る宝である。この宝を守り抜くことが今求められている。

社会保障の切り捨てを憲法で容認

　「大砲かバターか」という言葉があるが、「戦争をできる国」に日本を変えようとする憲法改悪は、当然のことながら、社会保障を敵視することになる。「改正草案」は、平和的生存権規定を削除するだけでなく、家族が自助・共助の「基礎的単位」であると規定し、社会保障の切り捨てを憲法で容認しようとしている。憲法13条から「公共の福祉」を削除したのは、その証左である。それは経済的弱者の保護のために、大企業の活動を制約しようという国の役割の否定につながるものである。
　重大なことは、憲法改悪策動の先取りの攻撃が、「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりと一体となってすすめられていることである。労働規制緩和はもちろん、原発再稼働の推進、TPP参加、武器輸出３原則の緩和、生活保護の切り下げ、税と社会保障の一体改悪などの攻撃が次々とかけられてきている。憲法改悪反対のとりくみと一体で、これらの攻撃を跳ね返すことは急務である。

(3) 政府・財界、新自由主義信奉学者、マスコミ一体となった翼賛体制の危険性

　安倍政権の進めるアベノミクス、改憲策動は、政府・財界、新自由主義信奉学者、マスコミ一体となった翼賛体制のもとで進められている。アベノミクスの“司令塔”である産業競争力会議や規制改革会議には、財界代表はもちろんのこと、竹中平蔵慶応大学教授をはじめとした新自由主義信奉学者にくわえて、マスコミ関係者も参加している。
　日本の大手マスコミは、1990年代の小選挙区制導入にあたって、政府の諮問機関としてつくられた第８次選挙制度審議会に主要メディア関係者12人が参加し（委員は27人）、小選挙区制導入の大キャンペーンを主要メディアがこぞって展開するなど、1990年代以降、日本の主要メディアは、権力との癒着、一体化の動きを強めてきた。
　主要メディアは、アベノミクス、憲法改悪を進める安倍政権にたいしても、その応援団となり、安倍首相を直接登場させるなど、安倍政権と一体の世論誘導に手を貸している。それは、ジャーナリズムの危機というだけでなく、日本の民主主義を大きく脅かすものである。
　日本の主要メディアは、公正、公平、独立というジャーナリズムの根本精神を取り戻すことが今求められている。

２．現状打開を求める国民の運動と錯綜する国民意識

(1) 96条改憲反対と憲法擁護の戦線の広がり

　昨年４月に全面的な改憲案を取りまとめた自民党は、12月の総選挙で８割もの議席を占有、改憲勢力が衆院で400議席近くを占めたことから参院選に向けて改憲を前面にうちだしている。当初、９条改憲には国民の抵抗が強いことから、安倍首相は「（改憲は）96条から始める」（１月30日）と国会で答弁した。
　しかし、日弁連の「断固反対」との意見書や各地の弁護士会での反対決議、全労連・連合の反対表明、東北に広がる「首長９条の会」、さらには護憲派ばかりでなく保守・改憲派の論客を含む学者・研究者による「96条の会」の発足など、この策動に反対する動きが大きく広がり、「96条は変えないほうが良い」の声が世論調査でも過半数を超えるなど、96条先行改憲への国民的批判が大きく高まった。その中で、自民党は96条先行改憲については参議院選挙公約のなかに盛り込むことを断念せざるをえなくなった。これは、安倍自民党の憲法改悪策動に反対する国民世論が根強いものであることを示したものといえる。
　改憲問題が国政の重要な争点に成りつつある今日、自民党や維新の会などの危険な改憲内容を多くの国民諸階層のなかに明らかにし、平和的生存権や基本的人権を擁護する具体的な要求闘争とも結合した草の根からの運動と憲法擁護の国民的共同を全国各地から発展させることがいっそう重要になっており、その条件もかつてなく拡大している。

(2) 脱原発運動、TPP反対など社会運動の盛り上がり

　東日本大震災・福島原発の事故から２年数カ月が経過したにもかかわらず、震災被災地の復興は遅々として進まず、福島原発事故は政府の「収束宣言」がまったく根拠がないものであり、大量の放射能汚染水処理などは危機的状況にあることが明確になってきている。原発と人類は共存できないことが明らかになっているにもかかわらず、安倍政権は原発再稼動を明言し、更なる原発政策推進や大企業に成り代わって自ら原発輸出などを推し進めている。しかし、昨年３月以来の「原発なくせ」の首相官邸前での抗議行動はいまや全国100カ所以上に広がり、６月２日の「NO　NUKES　DAY」のように「脱原発」をめざす広範な諸団体・諸階層の共同行動が大きく発展している。６月上旬の東京新聞の世論調査でも、原発の再稼動には60.5％が「反対」し、政府や電力会社の安全対策が「信頼できる」は3.3％（「どちらかといえば」を含めても24.9％）で、「信頼できない（「どちらかといえば」を含め）」は72.6％にも達している。また、「原発を減らし」あるいは「原発をゼロに」して「自然エネルギーを増やすべき」という国民世論は84.2％もの多数になっている。
　TPP問題でも安倍政権は「守るべきものは守る」などと強弁しながら交渉参加の道を突き進んでいるが、その欺瞞は日増しに明確になってきている。アメリカとの事前協議ではコメをはじめとした重要な農産物の関税確保にまったく保証がないこと、すでに交渉に参加している複数の国々の関係者が「すべての物品が交渉の対象」であり、「例外は認められない」と発言していることがマスコミ報道でも明らかにされている。労働総研の会員を含む幅広い研究者により「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」も結成され、「TPPが日本経済に与える影響」の独自試算を発表している。たとえば、土居英二静岡大名誉教授は、政府が示した農林水産物等の生産減少額（２兆9680億円）を基に全産業への波及を試算、全産業の生産額減少額が約10兆5000億円、就業者減少数は、農業で146万5000人、全産業で190万2000人に及ぶとしている。まさに日本とアメリカの「１％のグローバル大企業のために、99％の国民を犠牲」にする悪政である。国民に大きな影響力を持つ全国紙が「社会の木鐸」としての役割を投げ捨て、そろって交渉参加を支持しているもとで、地方・地域経済への影響や労働者・国民への具体的問題点などを明らかにしながら、この暴走を許さない国民的共同を全国各地からさらに広げることが重要になっている。

(3) リストラへの反撃、役割を発揮した全労連・労働総研の活動

　大企業のリストラ、非正規切り攻撃などに対する雇用や権利を守るたたかいも地方・地域労連など全労連の支援のもとで一定の前進を勝ち取ってきている。震災を口実とした期間社員の雇い止め攻撃を跳ね返し正社員で再就職を勝ち取ったソニー労組仙台、偽装請負を告発・正規雇用を求め一定数の正社員としての雇用や偽装請負の再発防止などを企業と合意して解決したキヤノンの労働者。また、労働者の派遣期間が３年を超えないよう短期間の直接雇用をはさんで派遣を繰り返していたマツダの雇用制度の違法性を争った裁判では山口地裁が「労働者派遣法の根幹を否定する施策」とマツダの違法を断罪する判決が下されている。これらは一例であるが、当該企業の労働組合がこれを支援しないもとで、所属組織の違いを超えてたたかう労働者を激励し闘争を支援している地方・地域労連、全労連の役割はますます重要になっている。
　労働総研は労働ビッグバンの狙いと問題点を明らかにし、春闘や電機リストラへの「提言」などで労働者・労働組合の運動前進に貢献している。「デフレ脱却には賃上げが不可欠」が広範な世論となっている今日、労働総研が一貫して追求している「内部留保」問題が多くのマスコミでも取り上げられるようになり、安倍首相をして「企業関係者を集め、内部留保を賃金に使うことが企業の収益につながることを要請する」（２月８日、衆院予算委）と答弁させるなど世論や政府を動かしている。規制改革会議が労働者・国民への新たな攻撃をうちだしているもとで労働総研の役割や活動強化が従来以上に重要になっている。

(4) 安倍内閣支持で現状打開求めつつも、その支持基盤は流動化

　安倍政権は、民主党政権に裏切られた国民の現状打開に向けての期待や「10年間で１人当たり国民総所得（GNI）を150万円増」「女性が輝く日本に」など、まやかしの人気取り政策の打ち出しと、安倍政権を持ち上げる巨大マスコミの影響もあり、「高支持率」を維持している。しかし、多数を占めている国会の議席は有権者比で２割台の得票率で８割もの議席が占有できる小選挙区制のマジックによるものであり、その支持基盤は極めて流動的である。アベノミクスに期待しつつも、先行きや住宅ローン金利の上昇、物価値上げなどに不安を感じている世論も６割を超えている。しかも、安倍政権は改憲を明言し、原発再稼動やTPP交渉参加へ暴走、県民の総意を無視した沖縄米軍基地問題の対応、介護保険料引き上げと広範な生活支援制度引き下げに連動する保護基準の引き上げと受給抑制など憲法25条を蹂躙する生活保護法改悪法案等々、国民に背を向けた悪政を強行している。くわえて、労働分野のさらなる規制緩和や社会保障予算抑制と制度改悪、消費税の引き上げをおこなおうとしている。これらは安倍政権の本質を国民の中に明らかにし、その支持基盤を突き崩すであろうことは必至であり、それは今春以降の41市長選挙で自民党が11市で敗北していることからも具体的に現れ始めている。また、安倍政権の歴史認識や改憲策動への国際的な危惧の声も広がっている。「世界一国民が暮らしやすい国」の実現に向け、労働者・国民が力を合わせた運動が求められている。

３．激動する情勢と研究所の調査・研究課題

(1) アベノミクスとのたたかいと「人間的な労働と生活の新たな構築」の提起

　安倍内閣の成長戦略では、規制緩和を通じた企業競争力の強化こそが日本経済の再生にとって最重要事項であるという観点から、原発の再稼働によるエネルギーコストの削減、TPP（環太平洋連携協定）の推進、産業の新陳代謝の促進、解雇規制の緩和、雇用調整制度の縮小による雇用流動化の促進などが議論されている。これらの政策の背景になっている基本的考え方は、規制緩和して、民間企業が自由に行動できるようになれば、自ずと経済成長できるようになるという新自由主義的経済成長論である。
　しかし規制緩和して、企業が成長しても国民生活の豊かさには結びつかないというのが、2000年代の「いざなぎ越え」景気の実態である。この間、輸出増→輸出企業での生産増→設備投資の増加という連関は生じた。しかし、生産増に必要な雇用は非正規雇用で充当するとともに、正規労働者の賃金も抑制したことで、雇用増→賃金上昇→労働者の消費増加→消費財産業での設備投資増加→資本財への需要増という好循環は働かなかった。企業は成長しても、「人間的な労働と生活」は実現できなかったからである。日本経済の発展のためには、企業成長を軸とした新自由主義的成長政策ではなく、「人間的な労働と生活の新たな構築」が必要なのである。
　またアベノミクスによる円安の進行で、賃金は上がらないまま物価が上昇するという「スタグフレーション」的様相を見せており、国民生活は困難さを増している。国民生活を守るたたかいが重要になっており、労働運動の課題としても提起することが必要である。
　こうした観点から、労働総研は研究所プロジェクトとして進めてきた「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」の報告書が『提言・ディーセントワークの実現へ』と題して出版された。われわれの提言は、2025年をめざして労働における「働くルール」の確立、生活面において人間的な生活が保障される社会の構築をめざしている。提言では雇用と社会保障をその二本柱とし、雇用では正規雇用があたりまえの社会をめざし、同時に雇用条件として、賃金政策、労働時間政策、心身の健康政策を包摂し、それぞれについて働く労働者の立場からの具体的展望を提示した。
　社会保障の面では、平和的生存権、応能負担、必要に応じた給付を原則として、「人間に値する生活」を保障するための具体的提言を提示している。
　この提言を実現するために、今後は労働者・労働組合間の討論、そこでの合意形成、それを前提とした労働者・労働組合の運動、国民共同の運動の広がりと世論形成が必要である。
　労働総研は、アベノミクスに表されている新自由主義的成長政策の反国民的政策を暴露するともに、提言の現実化に向けての普及活動と調査研究活動を深めていきたい。

(2) 財界のグローバル戦略と民主的規制

　安倍内閣は、成長戦略のなかで「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」を掲げ、輸出大企業を成長させる方向を明確にしている。しかし輸出大企業に有利な環境を整備しても、内部留保を増大させる一方、海外での設備投資を増大させるだけで、国内生産回帰の方向性には結びつかない。むしろ立地競争力のためと称して、法人税を引き下げれば、財政基盤を縮小させ、ますます政府財源を消費税に依存するゆがんだ税制を作り出すだけである。
　そもそも輸出大企業などの財界は、各種優遇税制などさまざまな利益を国民経済から受けながら、止めどない海外進出、一方的な工場閉鎖やリストラなどによって国民経済を破壊する行動をとっているのである。
　労働総研は、輸出大企業重視の政策に対して、日本の大企業・多国籍企業への「民主的規制」をおこない、その経済力にふさわしい社会的責任を果たさせることが重要であると考えている。具体的には、（１）法定標準労働時間の遵守、不払い残業の厳格な規制、年次有給休暇の完全取得などの「働くルール」の完全実施、（２）大企業に膨大に蓄積された内部留保を格差と貧困の拡大の防止に充当させること（具体的には、解雇規制、要員増大、非正規雇用の正規化、賃金の抜本的引き上げ、下請単価の是正、社会保障財源への組み込みなど）、（３）労働・社会保障制度改革として、労働者派遣法の廃止、男女平等法・「均等待遇条項」の導入、最低賃金制の抜本改革、社会保障財源を「応能負担」原則とし、必要な者が必要な時に受給できる制度に改革すること、（４）大企業だけが利得を得る各種不公平税制の改革、消費税の大企業への還付金の廃止、「社会的強者」である大企業・富裕層への法人税、所得税の税負担の強化、富裕層・金融投機への独自の課税（証券取引税率の引き上げ、金融取引税の創設など）が含まれる。これらの民主的規制を強化することによって、「人間的な労働と生活の新たな構築」実現への途が切り拓かれるのである。
　労働総研は、財界のグローバル戦略の危険性を明らかにするとともに、民主的規制についての調査研究活動を深めていく必要がある。

III．2013年度の事業計画

　研究所プロジェクト「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」の最終報告は、単行本『提言・ディーセントワークの実現へ――暴走する新自由主義との対抗戦略』（新日本出版社）としてまとめ、2013年４月に刊行された。
　このプロジェクトの目的は、新自由主義的構造改革路線によってすすめられた“雇用破壊”“社会保障破壊”のもとで、貧困と格差が増大し、労働者・国民の生きる権利＝生存権が脅かされ、「デフレ不況」にみられる経済危機が深刻化する今日の状況をどう打開するのか、その課題を具体的に明らかにし、われわれがめざす社会とその実現の道筋を明らかにすることであった。最終報告は、「私たちの労働と生活を、日本国憲法とILO（国際労働機関）が提起するディーセントワーク（人間らしい働きがいのある仕事と生活）に近づけ」るための政策課題を明らかにしている。
　最終報告はまた、財界と政府が一体となって推進する「世界で企業が一番活動しやすい国」にするために、その犠牲をすべて労働者・国民に押し付けようとするアベノミクスの対抗軸としても、大きな意義をもつものとなっている。
　本年度の事業計画はこの研究成果を最大限活用することを基盤にして進めることが最重点課題となる。

１．研究所プロジェクトの提言内容の宣伝と普及

　研究所プロジェクトの提言内容の宣伝と普及について、シンポや討論会、学習会など場所、時期、形態などについて多様な工夫をする。当面、地方労連に協力を要請し、地方労連と共同の学習講演会を、全労連の10の地域ブロックごとに全国各地で開催することを追求する。また、単産にも協力を要請し、学習講演会などの開催努力を強める。

２．各地方の研究機関や単産調査部などとの交流の強化

　地方労連と協力・共同の関係にある地方のシンクタンクが各地で活動している。これらのシンクタンクが、労働運動、地方労連の直面する課題や政策提起の方向などについてどのような活動をしているのか、研究交流の場を設け、労働総研が取り組むべき政策課題を考える。
　単産が直面する課題などについても、単産の調査部や政策担当者などとの交流を強め、職場における労働者の団結が破壊され、「孤立化」がすすむという状況が広がるなかで、職場の実態がどうなっているのかもふくめて、具体的事実と問題点を把握し、労働組合運動の前進に寄与する政策提起の課題や方向について考える。

３．都道府県別最賃波及効果の全国的な普及

　都道府県別最賃波及効果の試算ができるマニュアルを作成した。これにもとづき各都道府県で、それぞれ最賃波及効果が試算できるようにするための学習会等について、全労連とも協力して開催することを追求する。

４．研究所の政策発表

　アベノミクス政策などとして政府がおこなおうとする雇用や社会保障政策の動向について迅速に察知し、それにかみ合う政策提言を機敏に行う。同時に、これら政策提言にもとづく学習研究会などを全労連との協力・共同で推進する。

５．研究部会

　これまでの研究部会や会員の研究の成果を生かし、研究部会の活動を発展させる。各研究部会と常任理事会との連絡を密にして、研究例会や研究交流会の活発化を図る。

６．研究交流会

　研究部会間の研究交流を進めると同時に、直面する労働運動の課題についての民主的団体や他の研究所との課題別研究交流の推進にも努める。

７．経済分析研究会

　「グローバル化する経済と雇用・労働問題」をテーマに活動を開始する。財界のグローバル戦略の分析を進めると同時に、それがどのような雇用・労働問題となってあらわれてくるのかについて研究する。

８．大企業問題研究会

　“６重苦”の解消など、立地競争力強化を唱える財界のグローバル戦略やアベノミクス成長戦略の分析と、これらが大企業職場にどのような形で具体化されようとしているのかなどについての調査と職場の要求・政策にかかわる活動を強める。

９．若者の仕事とくらし研究会

　研究会発足当初より進めている若者の労働組合に関する意識調査を継続して実施し、調査結果を公表していく。特に今年度は、若手組合員の聞き取り調査を執行委員・非執行委員に分けて実施していく。さらに、大学生の組合イメージ調査は、学生の持っている労働組合に関する知識の内容について調査を進めていく。研究会メンバーの拡大にも努める。

10．E.W.S（English Writing School）

　これまで続けてきた、英語の基礎を繰り返し確認しながら、実践的な英語の書き方を研究することにくわえ、労働総研・全労連の対外むけ文献・ニュースをクラスで実際に作成する。新たな参加者を募って、一人でも多くの若手の書き手を育てることを追求する。

11．研究成果の発表・出版・広報事業

　『労働総研ブックレット』は、編集委員会の確認にもとづき、「日本の若者―現在と未来を考える」「最賃引き上げと全国一律最賃制」「憲法が危ない」の執筆が始まり(９〜10月刊行予定)、つづいて「内部留保を考える」「ジェンダー平等の実現」の具体化のとりくみが進んでいる。ひきつづき年度内には最低４冊を刊行する。編集委員会のイニシアのもとに、企画や内容の充実を図るとともに、運動現場の意見も機敏に反映するようにし、研究所の研究成果の積極的な発信に努める。
　『労働総研クォータリー』は、発売を本の泉社に委託し、広く宣伝・広報を展開できるという有利な条件を生かして、会員以外への普及を強化して労働総研の存在感を高める。また、編集委員会の努力もあり、各号を特集でまとめるようにしているが、特集内容に応じた普及の努力をさらに強める。
　「労働総研ニュース」は定期的な発行に努めるとともに、紙面の改善により研究部会・会員相互の情報交換の活発化を図る。
　「労働総研ジャーナル」は日本の労働運動の情報を国際的に発信していく。
　ホームページの積極的な更新に努める。

12．産別会議記念労働図書資料室

　(公財)全労連会館との共同で、図書資料室として有効に活用できるよう協力する。

IV．2013年度研究所活動の充実と改善

１．会員拡大

　労働総研の研究活動の広報が強化されてきたことを活用し、シンポジウム、各種研究会など労働総研の具体的な研究活動を通して、会員の拡大を図る。なかでも、労働総研の今後の活動を展望し、とくに、若手や女性研究者を重視した会員拡大に留意する。

２．読者拡大

　『労働総研クォータリー』の定期的刊行、ホームページなどによる宣伝の強化などを通じてより広範な人に普及を行なう。また、会員の協力も得て、『労働総研クォータリー』を大学図書館で定期購読してもらえるよう普及の努力を強める。

３．地方会員の活動参加

　労働総研のシンポジウムや公開研究会への参加を呼びかけるとともに、「労働総研ニュース」などへの寄稿により、会員相互の交流の活発化を図る。地方会員の活動参加を多様な形でどうすすめるかについても研究していく。

４．事務局体制の強化

　ボランティアの力も活かして、事務局活動を強化してきた。ひきつづき、『労働総研ブックレット』『労働総研クォータリー』編集委員会、「労働総研ジャーナル」編集スタッフ会議などの円滑な運営のために機動的に支援する体制を強める。

５．顧問・研究員制度の活用

　労働総研設立当初の経験・教訓を活かし、意識的に継承・発展していくためにも、顧問・研究員の制度の活用は欠かせない。顧問・研究員との意見交換会などを、適切な時期に開催する。